修士2年の武上響生さんの論文がJPSJに出版されました(J. Phys. Soc. Jpn. 93, 083703 (2024)).基底状態が厳密に解け,Majorana粒子が存在すると予想されているKitaev模型を,スピンのGreen関数の運動方程式を用いて解析した論文です.この手法を用いて計算した相関関数の温度依存性は,高温領域では高温展開と一致し,絶対零度では厳密に知られている値に極めて近い値を示します.エネルギーの温度依存性は,モンテカルロ法で生成したZ2ゲージ場中を遍歴するMajorana粒子で計算した結果とよく一致します.さらに,ある種の有限温度の相関関数が恒等的にゼロになることも厳密に示せます.これらの結果により,Green関数の運動方程式の手法が,Kitaev模型の解析にとても有効なことがわかりました.