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物質で探る量子異常の物理

物質で探る量子異常の物理

古典論ではある種の保存則が成り立つのに,量子力学では保存則が破れてしまう.そんな不思議なことが素粒子物理学では古くから知られていました.こうした現象は量子異常と呼ばれています.近年,トポロジカル物質において,この量子異常の物理と関連する現象が見出され,多大な関心が寄せられています.当研究室でこれまで調べてきた有機導体が,低温で量子異常を実現する系であることが明らかになり,arXivにプレプリント(arXiv:2004.04364)を投稿しました.対称性というよりは電子間の強い相関効果によってこの特異な状態が安定化すること,次元性が変化することなどが他の系に見られない面白い特徴です.また,非自明な形で時間反転対称性と空間反転対称性が破れており,この点もさらに探求する必要があります.

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